ちょっと一言

orzのあの人について語ったり語らなかったり。



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無題――珈琲
アップして頂きました。
しかもコメントありがとう。珈琲を飲みながら、良いですね(ニコ)。

これを書いた日、車の中でずっと八木さんの詩がくるくる回っていて、これは石川の話だなぁと思って帰宅して書きました。

気に入って貰えると嬉しいなぁ。

八木重吉さんは早世の詩人です。結核で29才で亡くなっていて、生前は敬虔なキリスト教徒だったようです。
私が知ったのは、今から6,7年前なのですが、それからずっと大切にしている詩人さんです。ご興味のある方は手始めに青空文庫とか文車さんにアクセスしてみると良いと思います。引用したのは「貧しき信徒」の終わりの方に入っている無題という詩です。

同じ詩集に入っている病床無題というタイトルの詩とか凄いです。凄すぎて引用すら出来ない。とても静かで言葉は少ないのだけど、物凄い破壊力です。
あさき : 石川 : 02:53 : comments(0) : -
新しい世界
実家に戻ってありがたがられるのは、せいぜい最初の二日くらいだ。

去年の秋に病気をしてから、親は口うるさく帰ってこい、と繰り返す。心配されて厭な気持ちのする性質ではないから、特に大きな抵抗もなく、試験の一段落した二月に実家に戻っていた。

昨日は一日中、冷たい雨が降っていて石川の気を滅入らせた。雨の日は厭な事ばかり思い出す。
石川が本当には聞いていないサイレンの音ばかりが鼓膜に張り付いて離れない。両耳を塞いでも、頭の中で鳴るその音は止まない。
浮かぶのは風に浚われそうなほどおぼろな笑顔だ。
眠れないまま時がゆっくりと流れていく。窓の外が白んでくるのを見て、雨が止んだのを知った。それに少しだけ安心して、そして、眠りに落ちたらしい。

気付いたら、陽は随分高く上がっていて、今年で成人する息子の部屋に無遠慮に入ってきた母親に布団をはがれた。
「いつまで寝てる気? 暇なら店番して」
「暇やない」
もごもごと口の中で郷里の言葉を呟いたが、午前の陽は石川には優しくなかった。懐かしいベッドの上で間の抜けた伸びをした。

東京の一人暮らし先では決して口にできないしっかりとした朝食を食べて、石川は仕方なしに店先に出た。石川の生家は石川電機という小さな電機屋を営んでいる。まだ近所では大型店の出店がないのと、昔からの付き合いの顧客がいるので経営はそれほど逼迫はしていない。が、そうそう大物家電を買う人もいなければ、昼頃に電機屋を訪れる人もいないので、非常に暇だ。
意味もなく店番をしていて褒められるのは、小学生までだ。
退屈しのぎにぐるりと店を一周して、先代――祖父の趣味らしい古びた家電製品がガラスケースの中に入れられているのを見て、宮沢がこういうのを見たら喜ぶのか、それとも中原なのかを考えて頭を捻った。

レジの前に置かれたスツールに腰掛けて、サッカー台に頬杖をついた。自動ドアの向こうの世界はずいぶんとあでやかに晴れ上がっている。
今日は空調を効かせるまでもなく、まるで春のように暖かい。硝子の向こうからこぼれ落ちてくる光を浴びながら、石川はうつらうつらした。

突然、ダン、と鈍い音がした。

吃驚して目を覚ますと、自動ドアの向こうで茶色い塊がキャンキャンと吠えていた。どうも、それがぶつかったらしい。
石川はその茶色の塊がなんなのかを理解すると相好を崩した。小走りに自動ドアに向かう。
「マメ」
名前を呼ぶと、黒豆のような目をしたポメラニアンが石川に向かって飛んだ。
「もう、」
と言いながらリードを引っ張ったあやねは、少しむくれた顔をして石川を見上げた。
「ねぇ、あたしに挨拶は」
「散歩?」
あやねは石川に向かってジャンプを繰り返すマメを抱き上げて、「帰ってきてたんだ」と呟いた。
「あれ、俺メールしなかった?」
「してないよ、ねー」
あやねはマメに目線を合わせて話しかけた。話しかけられた当人は何処吹く風で、なんとか石川とスキンシップを図ろうと前足をばたばたと動かしている。
どういうわけか、中学時代から飼っている深谷家の愛犬マメは石川のことをいたく気に入っている。
マメをなだめるようにぽすんと小さな頭に石川が手を置くと、マメは気持ちよさそうな顔をして、あやねはちょっとだけはにかんだ。

あやねはすとんとマメを道路の上に置くと、石川に向き直った。
「じゃあ、行くね。はじめちゃん、店番でしょ?」
「えー、いっちゃうの? つまんない」
ちっとも悪びれもせずに石川は言い放った。あやねが一瞬たじろぐ。中学生の頃は直ぐに言い返せた言葉が時々出てこなくて酷く困る瞬間がある。
「俺も散歩行くよ。なぁ、マメ」
石川は相変わらず彼の足下でじゃれつくマメに向かって言った。そして、すぐに自動ドアを開けて中にむかって叫んだ。
「ちょっと出てくるー。店番たのむわー」


真ん中にマメを歩かせて、子供時代によく走り回った道を歩く。
春の訪れが近いことを告げるぬるんだ風が、少しだけ石川の心を軽くする。
「はじめちゃん、家寄っていけば?」
非常に気まぐれな性格をしている上にマメの散歩量はたかがしれていて、すぐにあやねの家までついてしまった。
小学校の頃から何度も訪れている家に上がり込むのに当然抵抗などなく、石川は軽く頷いただけでその提案を受け入れた。
基本的で室内で飼っているマメを家に上げようと、足を拭こうとしたのに、石川がいることではしゃいでいるマメはリードがはずれているのを幸いに庭に回った。庭に回って、二人を呼ぶようにキャンキャン鳴いている。
「はじめちゃんのせいだかんね」
「何が、」
石川が抗議の声を上げようとした瞬間に、またマメが鳴いた。二人で庭に回る。
マメは庭の隅に転がっていた薄緑色のボールをくわえて得意そうな顔をしている。石川の足下までくるとそれを口から離した。投げろ、と言っているらしい。
「はじめちゃんが責任をもって遊んでやってね、」
あやねは言い放つと、昔ながらの造りの家の縁側に腰掛けた。
「わー頑張れー」
棒読みで応援を始める。石川は一瞬そっちに向かってボールを投げかけて、やめた。マメがとりやすい方に向かってやさしく投げた。
マメは最初見たときのような茶色い塊のようになって嬉しそうに庭を駆け回る。
ボールを拾っては、石川に戻すという単純な動作の中で、一度、甲高く鳴いた。

あやねも、石川もいない方に向かって。

頼りない印象の細い楓の木がそこにあった。
その場所に、よく、伊藤がいた。
三人で遊んでいると決まって、その木の傍に伊藤はいて、ある時など三人でおもしろがって楓の葉を切り集めてあやねの家の人に酷く叱られた。

息が詰まる。

呼吸の仕方さえ忘れそうになる。肺の痛みを思い出して、何もかも手放して叫びたくなる。そうやって叫ぶ十分な酸素を取り込むことさえ怖くなる。
身体がこわばり、視界が段々と狭くなっていくのを自覚した。
ころころと足下を転がっていく薄緑色のボールにさえ手が伸ばせなかった。

あやねが静かに近づいて、ゆっくりとした動作でボールを拾いあげ、石川の手の中にねじ込むようにして握らせた。触れた指先が温かい。

生きているのだと思った。

「なかなか慣れないね、」
ゆっくりと告げた声が、二月の風に乗る。誰にも話せない。けれど、彼女は話すまでもなく知っている。そのことが酷く心強かった。
「うん、」
短く返事だけを返すと、石川のすぐ傍で、あやねが崩れるような奇妙な笑みを浮かべた。
「慣れるわけないね、」
「うん、」
短い言葉だけを繰り返す。

いつまでも、この新しい世界に慣れることができない。
忘れたふりをしてどんなに過ごしても、ふとした瞬間に蘇る心を抑えることができない。何処を探してもいないのだと、頭では理解しているのに、心がついていかない。

「マメ、」

あやねが短く愛犬を呼ぶ。ころころと転がるようにしてマメはあやねの足下にやってきた。その小さな犬を抱き上げて、彼女はぎゅっと抱きしめた。柔らかく長い茶色の毛がふわふわと風に揺れる。

風を止めおくことができないように、彼が逝くのを止められなかった。どんなに手を伸ばしても届かない場所に行ってしまった。

手の中の薄緑色のボールを、青い空に向かって放った。強い日差しに輪郭が仄かに光る。それを石川は受け取ることをしなかった。地面に落ちたボールは小さく跳ねて、それから少し転がった。

石川はあやねに手を伸ばして、マメを少し強引に奪った。その温かい小さな身体を抱きしめる。柔らかい毛に頬を寄せた。
あやねと目があった。
少し、潤んだ瞳のことは追求しない。
彼女は少しだけ構えると、いつものように笑った。
「勝手にとらないで!」
「マメは俺のほうがいいんだって。なぁ」
マメに話しかけると、マメは短く鳴いた。そのタイミングの良さに二人で笑った。


この風の向こうに、伊藤がいて、いつか自分自身も行く街があるのなら、この笑い声を風が運んでくれるといいと思った。

新しい世界にいつまでも慣れないけれど。
でも、大丈夫。
まだ、笑えるよ。
だから、心配しないで。

あさき : 石川 : 01:33 : comments(0) : -
土曜の午後
ゆるゆると目を覚ました。
休みの日だから、目覚ましはかけなかった。
指先で携帯を探りあてて、時間を確認した。既に昼過ぎだった。
「寝過ぎやなぁ」
郷里の言葉で呟いても、当然返事はない。
布団の中でもぞもぞと動いて、伸びた。転がるようにして、ベッドから下りて、窓に向かった。
淀んだ温い空気を動かしたくて、窓を開けた。
春の匂いが飛び込んでくる。

芙美に会いたくなった。


目的地までの切符を買って、ホームに滑り込んできた各駅停車に乗った。
誰かが開け放した窓から春の風が流れ込んでくる。窓の向こうを流れる景色は、淡く彩られている。冬を終わらせた街は、急に軽やかに明るく見える。
手の中の小さな切符をじっと見つめた。
とても当たり前なのだけど、この小さな紙片が芙美の住む街まで連れていってくれる。
それがとても嬉しくて、そんな事に気付いて感動している自分がくすぐったかった。


短いアナウンスの声を聞いて、芙美の住む町に降り立った。

小さな駅をくぐり抜けて、傾き始めた陽を浴びながら真っ直ぐに歩いた。小綺麗なアパートの二階のチャイムを鳴らす。
「俺、」
短く言うとドアが開いた。黒い髪をふわりと下ろした芙美がにっこりと笑った。
「どうしたの?」
会いたくなったというのが気恥ずかしくて、玄関でスニーカーを脱ぎながら口を開いた。
「お腹空いた」
部屋に戻り書けていた芙美がぴたりと止まった。
「うちは学食じゃありません」
言いながら彼女は冷蔵庫の中をのぞき込んだ。
「お昼で使い切っちゃったんだよね。外で何か食べてくる?」
「やだ。作って、」
即答した石川に芙美が呆れ混じりの顔を向ける。けれど直ぐに笑った。
「じゃあ、買い物に行こうか。丁度お米も終わりそうだから、石川君が持ってね」
「いいよー」
脱いだばかりのスニーカーにまた足を突っ込んで、部屋を出た。

陽がすっかりと傾いている。
赤い、世界。
まぶしくて、目を細めた。
ちゃんと世界が見られない冬が終わって、春が来た。
いつまでも冬であるはずはないと分かっているのに、いつもいつも、冬は石川を不安定にさせる。

仕度を調えた芙美が出てきた。自然にその手を取って、夕陽の中を歩き出した。
小さな声で鼻歌を歌った。
芙美が小さく笑う。
「良いことあった?」
「ん? 別に?」
はぐらかして、大きく足を踏み出した。
赤い世界の端っこで、スニーカーが茜色に染まる。
「変なの、」
言葉の割に、どこか嬉しそうにいう芙美の顔を覗きこんで笑った。

会いたい人がいる。
すぐ傍にいることがどうしようもなく嬉しい。
そんな簡単なことにやっと気付いた、春の午後。


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あさき : 石川 : 03:05 : comments(0) : -
月の夜にいつもの川
ゆらゆらゆらゆら。
川面に月が泳ぐ。
かたかたかたかた。
鞄を鳴らして歩く。

さわさわさわさわ。
冷たくなった風が頬を撫でる。
ぽっかりと浮かんが優しい黄色の月が、柔らかなシルエットの影法師を、ふたつ、作る。

転がる声は、つんとして高い。
「男子がちゃんと声出さないから、こんなに遅くなっちゃうんだよ」
「なんでだよ、俺たちちゃんと歌ってるよ」
甘えた声が夜寒に転がった。
プリーツの裾が、翻して、まあるい声が転がる。3フレーズ目。
ぴたりと声はやんで、「ここが出てないんだよ」と言って、大きな瞳を動かした。
むっとした表情の声が次いで転がった。
3フレーズ目をなんとか乗り越えて、声が重なる。


ゆらゆらゆらゆら。
川面は声をのせる。
ふわふわふわふわ。
風は、声を、運ぶ。


ふらふらふらふら。
明日を探して。

行き着く先は、皆、同じだと信じていた、あの頃。
風に乱れた川面で、ぐにゃりと月がゆがんだ。


(06/01/09)


***

言わないと分からない気がする。
石川・あやね。中学時代。
あさき : 石川 : 23:15 : comments(0) : -
石川の更新。/世界の終わり?
石川話を更新してもらいました★
と書き込む前に沢山のご反応ありがとうございます。
書きながら、あぁ、私はアホのように石川が好きなのだなぁと思いました。
いや、本当に鈍感です、この男(笑)

そんなわけでレスでございます。

ミツカさん>はじめまして! 元ネタご存知でとても嬉しいです。島崎くん(仮)には独特の体温があると思うんですよ。あたたかい人だと思っているので、ほわんとして頂いて嬉しいです。あんまり報われてないのがアレなんですが(苦笑)

氷雨さん>こんにちは。石川です。あやねちゃんです。芙美ちゃんが実家に帰ったのは、実家のわんこの具合が悪くなったからなのです(裏設定)。一応、そうでなければ置いていかれないと思います(笑)。あやねちゃんオススメですよ。私は書きながら芙美ちゃんとあやねちゃんの板挟みになりました(笑)。また来てくださいね!

七碕さん>こんにちは! 石川ですよ!(笑) 石川、中高話も書きたいと思ってしまいました。 石川の周りには可愛くて良い女子が沢山にて甘やかされていると根拠もなく思っています(笑)。まだまだ石川書きますよ!!

***

静ちゃん小ネタを書こうとしたら、Lさん側に登場しておりました! ひゃっほう。谷崎さんと石川君小ネタですよ。

「谷崎さー、もし静さんと別れたらどう?」
「世界の終わりだな、」
「個人の悲しみを世界スケールにしない方がいいよ」
「石川は?」
「……とりあえず、寝る」

あ。なんか両者のファンに怒られそう。
いやいや、谷崎は恋の終わりを、世界の崩壊と一緒に語れる人だと思うのですよ。んで、石川は「死んだふり」の子ですから、はい。大好きですよー!!
あさき : 石川 : 23:47 : comments(0) : -
葛西臨海公園<石川>
海の歌が聞こえる。

耳に神経を集中させて、一音一音記憶しようとする。

豆を使用してその音を作り出そうとして、爆笑されたことを思い出す。

一つ、一つ。
眼を閉じて。

あぁ、そういえば、島崎が新しい機材を購ったと言っていた。

「島崎君に、」
――使い方を教えてもらわなくちゃ。

言おうとして口を途中で噤んだ。この頃サークルの話をすると芙美の機嫌が悪くなる。

「島崎君が?」
眉根をきゅっと寄せ、不安そうな顔をする。石川は反射的に微笑みかけて、適当な話題を見つける。
「島崎君は、ピアノが弾けるんだ。ちょっと良いよね」
横に流した前髪の下で、芙美は表情を崩した。少し、胸の詰まるような笑い方だ。
「その話、この間も聞いたわ」
責める言葉は長くは続かない。くるりときびすを返して、人工の砂浜を歩き出す。
「芙美ちゃん」
呼びかけた声は、風に乗って、あわれっぽく響く。振り返った顔は、あきらめの色が濃い。

「ねぇ、水族館に行こう。そのためにきたんでしょ?」
「うん。マンボウ、いるかな」
「マンボウ? いるといいね」
石川は、芙美に追いついて、差し出された手を取った。石川よりも少しだけ体温の高い手のひらはしっくりと馴染む。それは二人の過ごしてきた時間を物語っている気がする。
けれど、思う。
すぐ横にいるのに、彼女のたてる音が聞こえない。確実にあるはずの音は、石川には届かない。


けれど、気づかないふりをして、マンボウの角度と水温の関係について話し続けた。


***

は、破局の足音が聞こえる…。
石川と芙美ちゃんの関係が、すぐに危うくなるのは多分に石川のせいだと思う。
あさき : 石川 : 23:34 : comments(0) : -
アンケート。
アンケート
誰が好きですか?
北原 柳吉
島崎 晴紀
石川 肇
宮沢 謙司 
谷崎 純一朗
竹久 夢志
中原 宙也


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