ちょっと一言

orzのあの人について語ったり語らなかったり。



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二つの雨<改>
窓に張り付いた雨が、ゆっくりとゆっくりと落ちてゆく。
窓を叩く静かな音につられて中原はじっと窓の向こうを見る。
窓硝子で遮断された世界は、白く煙って見えない。微かに滲んだ緑や、黄色がぼんやりとその存在を知らせる。けれど何よりも鮮明なのはぽつりと窓に落ちる水滴、軌跡。

その跡を辿る細い指先。
意識した途端に中原が触れられなくなるもの。

夏の始まりの雨が寒いと笑って、小さな身体に狭い部屋の中をタオルケットを巻き付けて引きずっていた彼女が振り返る。
髪が優しく踊る。
あ音を発しようとした彼女の形のよい唇を、中原は眼差しで押し止める。


どうか声は発さないで欲しい。
彼女が声を発したら、返事をしなくてはいけなくなったら、本当に言いたい言葉は永久に消えてしまうから。
どうか何も言わないで欲しい。


全部欲しいから、何も要らない。


口を閉じた彼女は、降り止まない雨の中、窓を開けた。
冷たく、湿った風が部屋の中に吹き込む。

細かい雨は、窓硝子という隔たりを取り払っても世界を鮮明にはしない。
白く煙った世界の中で、ぼんやりとした緑、黄、赤、青。もっと複雑な色の気配。

冷たい雨だ。
けれど、
何もかも許容する、あたたかい雨だ。


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あさき : 中原 : 01:53 : comments(0) : -
代表権。
既にサークル会議は停滞している。
年度が替わり新入生の出入りも一段落し、新しく各学年の代表を決めなくてはいけないのだが、二回生の代表が一向に決まらない。
代表の仕事と言えば、各学年の連絡網の総元締め程度なのだが、それでも不精者の多い学年ゆえになかなか決まらない。
「芙美ちゃんとかしっかりしているからいいんじゃない?」
先輩からの無責任な声に石川がむっと顔を上げた。
「藤岡さんは忙しいんです」
「そうですよ。芙美ちゃんは石川君の世話で忙しいんです」
静のきっぱりとした口調に一年次の輪の中にいた北原がけたたましく笑った。じろりと静に睨まれると、奇麗だなぁといいながら大笑いは止めた。
けれど、のんびりとした口調で、ゆっくりと爆弾を投下した。
「なら、谷崎センパイがいいじゃないですか」
「あー、谷崎なー。ええんちゃう?」
様子を伺っていた中原までが同意する。外野ばかりが賛同してもしかたなかろう、と谷崎が口を開きかけた。
が、谷崎の真横で、小さな声だがしっかりとした口調で宮沢が「谷崎代表」と呟いた。そして、小さく笑う。
それが伝播したのか、石川までも「谷崎代表」と呟き、顔を上げた。
「うん。いいよ、似合うよ。谷崎。お前、代表ね! 決定!」
責任を免れた二年のメンバーは一様にほっとした顔をし、そして、普段谷崎とつるんでいるメンバーは学年を問わず口々に「代表」を連呼した。

あまりにも「代表、代表」と熱心に言われるので、出鼻をくじかれた谷崎は立ち上がってとりあえず小さく手を掲げた。
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あさき : 中原 : 00:06 : comments(0) : -
寓話。
サークル棟の外階段の中段よりやや上に中原が座っていた。
谷崎と一緒に島崎が買い出しに出たときには既に同じ位置にいて気のない口調で見送ってくれた。

「中原さん何してんですか?」
「ん〜ひなたぼっこ」
「さっきもそこにいましたよ」
ひなたぼっこといいながら既に中原の爪先には影が落ちている。
谷崎がいやそうな顔をして口を開いた。
「あんたいつまでそうやってるつもりだよ。いづれ日なんか落ちるぜ。それでもそうやってるつもりかよ」
「まさか」
言って笑う。
「そん時になったら考える」
うそぶいた中原の返事を聴いて谷崎は階段を駆け上がった。
谷崎は中原の背後に回ると島崎の目の前で足蹴にした。
「あんたなんか落ちちまえ」
言い放って谷崎はさっさと残りの階段を上がっていった。
黒いカーデガンの背を気にしながら中原は「ひでぇ」と呟いて視線で島崎に同意を求めたが、島崎は谷崎の気持ちがほんの少しだけだがわかってただ柔らかく笑った。
足元には両手一杯の荷物をもった自分の影がある。低くなった太陽が影の色を濃くした。


***

こんな話を書いてみました。
あさき : 中原 : 22:35 : comments(0) : -
アンケート。
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